キュレーションホテルが目指すのは、志あるオーナーの伝統建築を、大工の技術と高いデザイン性により「高付加価値 貸別荘」として再生する、サステイナブルなビジネスモデルです。

ゲストには、伝統建築に豊かな工芸やアートがちりばめられたショーケースで、まるで自分の家のようにくつろぎながら、それらを暮らしに活かすヒントを見つけていただきたいと願っています。

また、地域の文化資源を繋ぐことでアーツ&クラフツツーリズムの核となり、さらにキュレーションホテルのネットワーク化により、志を同じくするオーナーやゲストのプラットフォームとなることを目指しています。

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キーワード 其の一

日本の
伝統建築と技術

CONCERVATION

キュレーションホテルは、伝統建築の再生プロジェクトである。素晴らしい価値を持っているにもかかわらず、負の遺産として扱われ、解体されていく伝統建築は、日本全国に数知れない。しかし、それらの負の遺産こそが、高付加価値な観光資源となる可能性を秘めている。
キュレーションホテル第一号・熱海「桃乃八庵」は昭和8年の建築だが、現代ではもう手に入れることのできない、実に美しい建築意匠にあふれている。一度壊してしまったら、こういうものは二度と再生できないだろう。職人たちの丁寧な手仕事によって作られ、長い時間を生き抜いてきた建築を、そんなに簡単に壊してはいけないと考える。これは、英国で多くの歴史建築を再生させてきた経験からの信念だ。
そして伝統建築を守るためには、伝統の工法と自然素材で再生すべきだ。それが古い価値ある建築を未来へつなぐ最善の手法と考える。目に触れるものは、基本は手仕事、伝統の技術、伝統の自然素材を旨とする。これにより、伝統の技術は未来へと継承される。その場を提供するのがキュレーションホテルの役目だ。
一方で住宅性能(耐震・断熱・冷暖房・照明効果)も高めていく。この両輪で伝統建築は未来に繋がれていく。

キーワード 其の二

人が集い、
鑑賞し、学ぶ場

A VENUE FOR PEOPLE TO LEARN

キュレーションホテルは、単に往時の姿に戻すだけでは機能しない。空間に人が集まり、くつろぐための場が備わっていることも必要条件となる。LDKにはサロン的な集まりやセミナーができる十分な広さの空間と椅子の数やレイアウト、プロジェクター含む映像音響計画などを、あらかじめプランニングに入れておく必要がある。
さらに伝統工芸、アート、アクセサリーなどを数多くディスプレイしても負けないだけのインテリア空間と、背景となる壁が必要だ。多くのものを置いたときにうるさく感じさせてしまう空間は、そもそもプロポーションが大きな質量を内包するにふさわしくないということ。ものが活き、空間になじみ、そしていくつもの表情を見せてくれる場を持てるように、空間を整えることが重要である。
伝統建築、伝統工芸、アートなどのショーケースであり、またショップであり、カフェやレストランでもあり、サロンやギャラリーでもあり得るし、さらにはそれらの複合でもよい。つまりは、その建築空間が持つ特徴とオーナーの得意分野を活かし、宿泊施設として伝統工芸やアートのマーケティングと普及を行う場。そういった複合的な機能を持つホテルを「キュレーションホテル」と呼ぶ。

キーワード 其の三

目利きと
キュレーション

CURATION, ART DIRECTION

まず建築を見出す目利き力。建築の再生の可能性、同時にキュレーションホテルとしての要件を満たす空間に転換できるかを見極める目利き力により、キュレーションホテルとなる建築を見出だす。
次に骨格としての建築を整え空間を創る目利き力だ。伝統建築はフレキシブルな構造を持つため、ダイナミックで美しい空間を創ることができる。その可能性を最大限に拓き、デザインを内包するための空間を創りだすのだ。当然、耐震・空調・電気・防火・音響・Wi-Fiなどの設備も、キュレーションホテルのデザインに組み込んでいく。
そして最大の目利き「デザインコンセプト」だ。土地の地理・歴史・自然・文化や工芸品、建築に刻まれた歴史、オーナーの個性を土台とし、キュレーションホテルとしての唯一無二のデザインコンセプトを創る。
その上で内装の土台を作る目利き力。床・壁・天井の仕上げをつかさどる伝統素材、空間を仕切る襖などの建具を吟味しデザインし、内装の土台を創る。
次にFF&Eと呼ばれる家具什器備品を選び抜く目利き力。家具や窓装飾、「用の美」としての伝統工芸品、そして新旧東西の芸術品を選び空間にブレンドさせるアートディレクション、デザインを効果的に演出する照明計画と照明器具など、一つ一つを吟味しながら、発表と販売の場をホテルという場の中に融合していく。すべてがキュレーションの対象なのだ。その際、まず地域の素材や作家を見出すところから始めてほしい。
上記のプロセスをつかさどるキュレーターとは、建築やインテリア、伝統工芸やアートの専門知識を持つプロということになるだろう。とはいえ、すべての条件を備える一人が行う必要はなく、適切なアドバイスを得られるパートナーシップを組めばよい。

キーワード 其の四

伝統と
革新の融合

FUSION OF TRADITION AND INNOVATION

伝統だけを振りかざしても未来につながる市場は拓けない。伝統には革新が加わって初めて、未来へつながる推進力が生まれる。
古いものと新しいもの、西洋と東洋、それらをあえて融合させ、時にはぶつけることで、緊張感やスパークルを生み出すのだ。
ひとの心を動かすデザインを創造するためには、恐れず冒険する勇気が必要になる。

キーワード 其の五

循環
サステイナビリティ

SUSTAINABLE CIRCULATION

基本的に、キュレーションホテルの空間に配置されたアートや伝統工芸品・伝統素材は、販売されることを想定している。すべてをこの場を通して循環させることも、キュレーションホテルが担うべき大切な役割だ。キュレーターの目を通して集められたアイテムは、それが最も活きる場と組み合わせを与えられ、買い手の目に触れることになる。
その価値を伝えるにあたり、キュレーションされた一つ一つのアイテムに関するストーリーはとりわけ重要となる。ウェブ、SNSでの発信は欠かせない。また、イベントやセミナー、ワークショップなどを通じ、生活空間にある実物を見ながら、作り手や使い手から直接話を聞ける場は流通のチャンスを広げる。ホテルで経験した伝統工芸品やアートを生活の中で採用するきっかけを作ること、壊されたかもしれない伝統建築を改築改装で生かすきっかけを作ることにより、産地も工芸の技術も、その原材料を提供元も含め、サステイナブルに持続し文化を繋いでいくことにつながる。それはキュレーションホテルが生み出せる大きな価値なのだ。
年間1600万人の観光客を集めるロンドンで(※2018年)、先進モデルの「サステイナブルホテル」がディスティネーションホテルとして急伸したのは、その哲学にゲストが共感し、たとえ料金が上がっても、未来のサステイナブル社会への投資として納得してくれたからだ。

キーワード 其の六

アーツ

クラフツツーリズム

ARTS AND CRAFTS TOURISM

キュレーションホテルは、地域観光にも大きなインパクトを与える可能性を秘めている。近隣の美術館、博物館、作家のアトリエ、クラフト工房、ギャラリー、醸造所、レストランなどとネットワークを作り、地域の価値をともに高め伝えることで、地域観光と産業活性化のきっかけにもなり得るからだ。
これは富裕層インバウンド観光に欠かせない、宿泊施設のみならず、その周辺体験の価値を高めることにもつながる。ネットワーキングは当然手間のかかることだが、だからこそ収益性に貢献する。
核となるホテルの存在は、地域を繋ぎ、地域発のアートと工芸を観光に活かす「アーツ&クラフツツーリズム」を醸成する。

キーワード 其の七

宿泊の
持続可能ビジネスモデルとする

SUSTAINABLE BUSINESS MODEL

古い建築の改築改装を後押しするのは、建築が活用され、その後の維持を可能とするビジネスモデルを組み込む仕組みである。
ただし、投資目的のホテルという考え方は、キュレーションホテルにはなじまない。なぜなら投資とリターンの関係の中では、マスマーケットを対象とせざるを得ず、個性豊かなデザインを達成するのが難しくなるからだ。
施設はあくまでもオーナーの個性を映す別荘、住宅の一棟貸し施設である。それを維持することを助ける方法として宿泊のビジネスモデルを併設すると考えるべきである。
建築と文化を残したいというオーナーのポリシーをデザインが後押しし、後世まで慈しむことができる建築となる。その美しい建築デザインが評価を受け、宿泊者と共有する。そこに共感のシナジーが生まれ、循環型のビジネスモデルへと昇華する。
かかる経費を抑え、持続可能なビジネスモデルを達成するために採用するのは、欧州で一般的な貸し別荘の運営方式である。非接触型のサービスを助ける仕組み、地域のサービスを生かすメンテナンス体制の構築、地域の食文化をサービスの一環に組み込むレストランや近隣ホテルとのネットワーク、さらに本格的な有料バトラーサービスを提供できる体制も必要だ。
宿所としては、インバウンド利用を想定し、オンスイート型のベッドルームを複数備え、ふさわしい数のパブリックトイレや浴室を備えていることも必須である。リモートワークに対応するスタディや会議室設備も有効であろう。そのための一棟貸し特有の収納計画も欠かせない。
同じ志を持つキュレーションホテルは、キュレーションホテル協会のネットワークを通じ、ビジネスモデル、建築デザインのガイドライン、マーケッティングと予約システムを共有することで、互いのスタンダードを高め、さらに共感を広げていく。

キュレーションホテルはこれら7つのキーワードを掲げ、新たなビジネスモデルを通じて、日本が誇る美の系譜をライフスケールで活かし、観光資源とし、未来へつないでいくプラットフォームの創造を目指します。

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書籍のご紹介

皇族や財閥の別荘のあった熱海の景勝地に放置されていた築85年の古民家を、当時の意匠を可能な限り残し改修が進められた伝統建築再生プロジェクトの軌跡。「キュレーションホテル」として生まれ変わった建物は、伝統工芸やアートを通じて日本文化の再発見の場を提供し、地域のネットワークを作り、新しいツーリズムの発展にも繋がっていく。インテリアデザインの実例集として、またホテルデザインの新潮流を学ぶ専門書として類のない一冊。「キュレーションホテルが拓く伝統の未来」が出版されました。